「成年後見における死後の事務」に関すること

【参考】「新・成年後見における死後の事務」日本加除出版 松川正毅

■ 民法873条の2について

(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)
第八百七十三条の二 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)

平成28年に民法に追加されました。
この改正条文は、議員立法によるもの。法制審議会でその内容は検討されていないとのことでした。

要件としては、
➀ 死後事務の必要性
➁ 相続人の意思に反しないこと
➂ 相続人が相続財産を管理することが出来るに至るまで
※相続人が存在しない、又は相続人の存否が不明である場合
 相続人は存在するものの、その所在が不明若しくは連絡がとることが出来ない場合
 については、➁に該当しないと考えられるとあります。

■ 民法 第八百七十三条の2各号について

第一号
特定財産の保存行為として、相続財産の属する債権について、時効の完成が間近に迫っている場合に行う時効の中断や、
相続財産に雨漏りがある場合の修繕行為が示されています。

第二号
弁済が遅れると遅延損害金を課される等、相続財産を侵害するおそれがあることから、特に家庭裁判所の許可を必要と
することなく債務の弁済することが出来るとして定めたとの理由が記されています。
入院していた際の医療費、成年被後見人が住んでいた居室の賃貸料の支払いが挙げられています。

第三号
こちらの行為をするには、家庭裁判所の許可が必要となっています。
その例として、遺体の引き取りや火葬等のために契約の締結が示されています。
火葬はいったん行うとやり直しがきかず、事後に相続人等との間で紛争が生じるおそれがあるので、許可を必要とした
と説明されています。あくまで火葬・埋葬は権限であり、義務ではないとの説明も続いています。

まだ、弊所では成年後見制度のサービスは、準備が出来ていませんが、生前対策として検討すべき点は多分にあると考えています。
ある程度、先々のことを想定し、早い段階で相続人を特定しておくことで、次のアクションとなる遺言書や死後事務委任などの
準備することに繋がることを強く感じました。

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記事作成者


特定行政書士・海事代理士
米川 政志
千葉県行政書士会葛南支部
船橋市幹事

定期的に船橋商工会議所にて、遺言書作成や相続に関する無料講座を開催しています。

《所有資格》
・遺品整理士
・認定空き家再生診断士

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