「相続放棄」に関すること

今回は、「相続放棄」について、整理をしていきたいと思います。

まず、「相続放棄」とは、

相続権の全てを放棄すること。 故人(被相続人)の相続財産の内、債務などのマイナスの財産がプラスの財産を上回っている場合に、故人(被相続人)の遺した財産の一切の相続を拒否すること。

負の財産が上回っているケースが相続放棄を用いられるパターンが多いとは感じますが、相続争いを避けたいという場面もあるようです。

「相続放棄」におけるメリット、デメリットを挙げていきます。
<メリット>
・当然、被相続人の借金を引き継がなくてもよい
・遺産分割のトラブルに巻き込まれにくい
(連帯保証人となっていたりしたら、相続放棄しても免れることは出来ません)

<デメリット>
・プラスの財産を含めて相続出来なくなる
・相続放棄の撤回が出来ない

短い時間での判断となるため、プラス、マイナスの相続財産の把握が正確に出来るものなのか?
プラスの財産は見えやすいですが、マイナスの財産は水面下に隠れていることも考えられます。
被相続人の方と生前にコミュニケーションを取っておき、いざという時に備えることが一番ではあると考えますが、マイナスの財産はあまり口に出しにくいところがあるやもしれません。
それでも日ごろの会話が重要なのかもしれません。

相続放棄を全員がした場合もケースとしては、考えられます。
私個人としては、一番このケースが気になりました。

・マイナスの財産は、消滅してしまうのか?
→ 当然、無くなることはありません。プラスの財産からマイナスの財産に弁済されていきます。それでもマイナスが当然残る訳で、連帯保証人などに手が回る訳です。(上述の通り、相続放棄した者が連帯保証人となっていたら、請求が来る可能性があります。)

・プラスの財産が残っているケースは、特別縁故者、国庫への帰属というのは、前の記事の通りです。
【参考】「相続人が居ない遺産」に関すること

細かく言いますと、相続人がいない場合、相続財産管理人が選任されることになります。
その選任がなされるまでは、相続放棄をしたものは財産管理はしないといけません。

(相続の放棄をした者による管理)
第940条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

(申し立ては、「利害関係者」、「検察官」と定められています。相続放棄をした元相続人が申立てをする必要はないようです。)

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記事作成者


特定行政書士・海事代理士
米川 政志
千葉県行政書士会葛南支部
船橋市幹事

定期的に船橋商工会議所にて、遺言書作成や相続に関する無料講座を開催しています。

《所有資格》
・遺品整理士
・認定空き家再生診断士

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