『相続紛争防止へ有識者議論』に関すること

先日、法務省が「自筆証書遺言」に関する議論がなされたという記事に関してとなります。

参考:共同通信社(新日本法規サイトより引用)

<以下、記事を原文のまま 改行のみ投稿者実施>
*———————————————————————————————-
「遺言、PCで作成可能に 手書き見直し、法改正検討 相続紛争防止へ有識者議論」

法務省が、本人の手書きや押印が義務付けられている「自筆証書遺言」を、パソコンなどデジタル機器で作成できるよう
民法改正を検討する方針であることが2日、関係者への取材で分かった。
月内にも有識者会議が設置され、見直しの議論を始める。作成を省力化して遺言書の利用を増やし、相続を巡る家族間紛争を
防ぐのが狙い。偽造・改ざん防止の仕組みづくりが課題になりそうだ。

 遺言書は主に、自筆証書遺言と、公証人らと作成する「公正証書遺言」がある。民法は、自筆証書遺言は全文、日付、氏名を手書きし、
押印しなければならないと規定。日付を忘れるなど不備があれば無効になる恐れがあり、手間が大きく、利用は低調になっている。
公正証書遺言は既に、デジタル機器での作成が可能だ。

 関係者によると、有識者会議で検討した後、法制審議会(法相の諮問機関)で議論する見通し。本人の真意に基づくと担保するため署名などの
手書き部分を残すかどうかや、家族による代理入力の可否などが論点
になる見込みだ。
制度改正には数年かかる可能性がある。

 政府の規制改革実施計画では「遺言を簡便に作成できる新たな方式を検討する」として、デジタル技術活用の方針を盛り込んでいる。
政府関係者は「全文手書きではハードルが高い。制度改正で、遺言作成を考えていない人にも利用しやすくできれば」と話している。

 自筆証書遺言の正確な件数は不明だが、自筆遺言を法務局で保管する制度の利用申請は2022年に約1万7千件。日本公証人連合会によると、
公正証書遺言の作成は同年約11万2千件だった。

遺言
 死後、財産を誰にどういった割り振りで相続させるかや、相続人以外への遺贈といった内容が一般的。法定相続よりも優先される。
民法は、急病で証人が聞き取る場合などを除き、証書作成での遺言を義務付けている。2018年成立の改正民法で、自筆証書遺言に関し、
財産の一覧を示す目録をパソコンなどで作成し添付できるようになった。20年には自筆証書遺言の紛失・改ざんを防ぐため、
法務局で保管する制度が始まった。

(2023/10/3)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)
*———————————————————————————————-

『自筆証書遺言』に関する問題意識が高まっていることは、とても良いことかと思います。
本来ならば、『公正証書遺言』作成を推進するのが自然の流れであると個人的には考えますが、公正証書遺言は敷居が高いことが背景にあろうかと思います。

記事にも書かれてましたが、「本人の意思に基づくと担保するため」の部分が大きな問題と感じます。
署名部分だけ自筆をしたら、それでよいものなのか?
ご家族の代理入力の可否を認めるとまた質の違う紛争に陥らないか?

大きな課題があるかと思います。手軽さを重視することで、形骸化を招かないか?
とはいえ、現在の『自筆証書遺言』のメリットはあると感じていますし、安くなれば『公正証書遺言』を作成するのか?とはならないと感じています。
今一度、制度改革に加え、終活に関する意識を醸成することも併せて実施することが重要ではないかと思うのです。

関連商品

  1. 遺言書を書く上で注意すること

    今回は、「遺言書を書く上で注意すること」についての記事となります。

  2. 「外国人の遺言」に関すること

    今回は、「外国人の遺言に関すること」についての記事となります。

  3. 遺言書の付言事項について

    今回は、「遺言書の付言事項について」の記事となります。

  4. 遺言書で生命保険の受取人は変更できる?

    今回は、「遺言書で生命保険の受取人は変更できる?」についての記事となります。

  5. 『遺産分割方法の指定を第三者に委託したい』場合の遺言書(文例)

    今回は、「遺産分割方法の指定を第三者に委託したい場合の遺言書について」の記事となります。 記しているものは、あくまで文例となります。

  6. 「遺言の撤回」に関すること

    今回は、「遺言の撤回に関すること」の記事となります。

記事作成者


特定行政書士・海事代理士
米川 政志
千葉県行政書士会葛南支部
船橋市幹事

定期的に船橋商工会議所にて、遺言書作成や相続に関する無料講座を開催しています。

《所有資格》
・遺品整理士
・認定空き家再生診断士

ページ上部へ戻る