『遺産分割の対象となる不動産や非上場株式の評価方法は?』20250621時点(21)

1. はじめに

今回は、遺産分割の際に不動産や非上場株式はどのように評価されるのか。

評価の時期や方法において、争いとなる場合、どの様に評価したら良いのかを確認していきたいと思います。

2. 一般的な評価方法について

そうですね。

基本的には、遺産分割時点となります。

評価額に争いがある場合には、各々の評価書を提示し、協議されることになります。

3. 遺産分割の場合の相続財産の評価時期

先述しましたが、遺産分割時点となっています。

遺産分割には相続開始時から相応に時間を要するため、相続開始時点で相続財産を評価すると、相続人との間で、不公平が生じる事がある訳です。

相続人間で合意が得られれば、話し合いにより評価の基準時を異なる時点にすることは可能となります。

4. 不動産の評価方法

建物については、固定資産評価額、土地については、相続税評価額となります。

  • 路線価方式:市街地などで国税庁が定める「路線価」に土地の面積を乗じて評価。

    • 評価額 = 路線価 × 土地面積 × 各種補正率

  • 倍率方式:路線価が定められていない地域で、固定資産税評価額に「倍率(国税庁公表)」を乗じて算出。

    • 評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

他に、公示価格や地価調査標準価格といった公的な評価基準があります。

市場価格に比べる一定の減価が生じることがあります。

実務においては、不動産業者の簡易査定、不動産鑑定士による鑑定評価を採用して話し合いで決定していくことになります。

更には、調停手続きにおいても家事調停委員として、専門家が関与するケースもあるようですが、解決が出来ない場合は、

鑑定人を選任して、鑑定評価を行うこともあります。

5. 非上場株式の評価方法

大会社、中会社、小会社に区分して、評価方法が分けられます。

区分については、発行会社の総資産価額、従業員数及び、取引金額で行われます。

大会社は、原則として「類似業種比準方式」で評価します。

  • 上場企業の株価と比べて評価する方法。

  • 評価額 = 1株あたり配当金・利益・純資産を基に算出(国税庁公表の比準要素倍率を使用)

小会社は、原則として、「純資産価額方式」で評価します。

  • 会社の資産と負債を時価で評価し、株式1株の価額を算出。

中会社は、大会社と小会社の評価方法を併用して、評価します。

実務上は、税理士や公認会計士などの専門家に依頼して、評価書を提示し、調停手続における専門家の関与、解決に至らぬ場合、

不動産と同じ流れとなります。

6. 最後に

お悩みのある方は、まず、弊所においてもご相談を受け付けております。(フォームからの一次返信までは無料です。)

但し、専門家に依頼することをお勧めいたします。

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記事作成者


特定行政書士・海事代理士
米川 政志
千葉県行政書士会葛南支部
船橋市幹事

定期的に船橋商工会議所にて、遺言書作成や相続に関する無料講座を開催しています。

《所有資格》
・遺品整理士
・認定空き家再生診断士

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