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「遺言執行者」に関すること
今回は、「 遺言執行者」に関して、触れて行きたいと思います。
民法による関係条文としては、第1006条~第1020条となります。
「遺言執行者」とは遺言内容を実現するために行動する者と文字通りです。
平成31年7月1日以降に発生した相続(被相続人が亡くなった場合)より、適用されます。
・遺言内容の通知に関すること( 民法 第1007条)
・遺言執行者の一般的な権利に関すること( 民法 第1012条)
*遺言執行者への就任が平成31年7月1日であれば適用されます。
・特定財産に関する遺言執行者の権限に関すること( 民法 1014条2項~4項)
・遺言執行者の復任権に関することの変更( 民法 1016条)
※平成31年7月1日以前に遺言がなされた場合には適用しません。
個人的に気になる点としては、
・第1013条第1項の条文が、相対的無効説を採用したことにあります。
(「善意の第三者に対しては」無効を対抗できない、という相対的な無効とする)
例えば、遺言により遺産である不動産を取得できなかった相続人の1人が、遺言を無視して不動産を自己名義に書き換え、第三者に売却し、所有権移転登記を行い、この不動産の買主である第三者が、遺言執行者の存在を知らなかった場合には、遺言執行者は、この買主である第三者に対して、所有権移転登記の抹消請求をできないこととなる。
・1014条第2項の条文において、
法定相続分を超えて遺産を承継する場合には、超過分については登記・登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗できない。
とされています。
他にも見直されている点はありますが、「 遺言執行者」の立場は明確となりました。
(遺言執行者の指定)
第1006条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。(遺言執行者の任務の開始)
第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。(遺言執行者に対する就職の催告)
第1008条 相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。(遺言執行者の欠格事由)
第1009条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。(遺言執行者の選任)
第1010条 遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。(相続財産の目録の作成)
第1011条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。(遺言執行者の権利義務)
第1012条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第644条、第645条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第1013条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。(特定財産に関する遺言の執行)
第1014条 前3条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前2項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。(遺言執行者の行為の効果)
第1015条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。(遺言執行者の復任権)
第1016条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
第1017条 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。(遺言執行者の報酬)
第1018条 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2 第648条第2項及び第3項並びに第648条の2の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。(遺言執行者の解任及び辞任)
第1019条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
2 遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。(委任の規定の準用)
第1020条 第654条及び第655条の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。
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