相続手続き支援の記事
父親の自筆証書遺言を扱ううえで押さえるべき5つの注意点
目次
はじめに
今回は、先日あったご相談内容を記事向けにアレンジをしております。
伺った状況をベースにお父様が書いたと言っていた遺言書(下書き含む)に関する扱いについて、整理をしてみました。
本記事は、ckaude(use.ai)、サムネイルは、gemini(有償版)を使用しています。
※2026年5月2日時点
1. 「下書き」か「完成した遺言書」かを慎重に見極める
自筆証書遺言が法的に有効となるためには、民法968条が定める形式要件――全文・日付・氏名の自書と押印――をすべて満たしていなければなりません。
お父様が「下書き」とおっしゃっていた書面であっても、実際にこれらの要件が揃っていれば、法律上は「完成した遺言書」として効力を持つ可能性があります。
逆に、日付が「○月吉日」のように特定できない形式であったり、押印がなかったりすれば、たとえ内容が明確でも無効と判断されるおそれがあります。
現時点では書面の中身を確認したい気持ちがあるかもしれませんが、封がされている場合は勝手に開封すると5万円以下の過料の対象となり得るため、
まずは外形的な状態――封の有無、日付や署名が見えるかどうか――だけを確認し、それ以上は家庭裁判所の検認手続きを経てから内容を精査することが安全です。
民法
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
2. 遺言書の保管場所と紛失・改ざん防止策を確認する
自筆証書遺言は自宅保管が多いため、紛失・隠匿・改ざんのリスクが常につきまといます。
お父様がご自身で保管していた場合、書斎の金庫や貸金庫、あるいは親しい人に預けている可能性もあるため、ご家族で心当たりを整理しておくことが大切です。
もし法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用していれば、遺言書保管所で原本とデータが管理されており、相続開始後に相続人が閲覧請求できます。
この制度を使っていれば形式面のチェックも済んでおり、検認も不要となるため手続きが大幅に簡略化されます。
保管制度を利用しているかどうかは、法務局に「遺言書保管事実証明書」の交付を請求すれば確認可能です。
いずれにせよ、発見した遺言書は現状のまま保全し、コピーを取る程度にとどめて原本には手を加えないようにしてください。
3. お父様に「遺言能力」があったかどうかを記録しておく
遺言は、作成時点で遺言者に「遺言能力」――内容を理解し、その法的効果を認識できる判断力――がなければ無効となります。
お父様が病気で倒れる直前まで認知機能に問題がなかったのであれば、下書き作成時の遺言能力は認められやすいといえます。
しかし、もし以前から認知症の診断を受けていたり、判断力の低下がうかがえる状況があった場合、後日ほかの相続人から「作成時に遺言能力がなかった」と争われるリスクがあります。
将来の紛争を防ぐため、今のうちにお父様のかかりつけ医から当時の診療記録やカルテを取り寄せたり、日常の会話・行動を記録した日記やメモ、介護記録などを整理しておくと、遺言能力の立証に役立ちます。
病状が回復し意思疎通が可能になれば、改めてご本人の意思を確認し、必要に応じて公正証書遺言へ作り直すことも選択肢に入ります。
4. 相続開始前に遺言内容を「実行」しようとしない
お父様がご存命である以上、遺言書はまだ効力を持っていません。遺言の効力が発生するのは遺言者の死亡時であり、それまでは何度でも撤回・変更が可能です。
したがって、現段階で遺言書の内容に沿って財産を動かしたり、特定の相続人へ名義変更を進めたりすることは法的根拠がなく、他の相続人との深刻なトラブルを招きます。
また、お父様の判断能力が回復する可能性がある限り、ご本人が遺言を書き直す意思を示すこともあり得ます。
今できることは、遺言書の存在と保管状況を把握し、必要に応じて成年後見制度の利用を検討するなど、財産管理と身上監護の体制を整えることです。
遺言の内容についてはあくまで「将来の相続開始後に効力を持つもの」として扱い、現時点では静観する姿勢が求められます。
5. 専門家への早期相談で手続きの見通しを立てる
自筆証書遺言の有効性判断や、相続開始後の検認手続き、さらには成年後見の申立てなど、関係する法的手続きは多岐にわたります。
ご家族だけで対応しようとすると、形式要件の見落としや手続き上のミスが生じやすく、結果的に遺言が無効とされたり、相続人間で争いが起きたりするリスクが高まります。
弁護士や司法書士といった専門家に早めに相談することで、遺言書の有効性の見込み、検認申立ての段取り、お父様の療養中の財産管理方法、そして将来の遺産分割に向けた準備まで、包括的なアドバイスを受けることができます。
特にお父様が回復された場合に公正証書遺言へ切り替える選択肢や、遺言執行者の指定についても、専門家と一緒に検討しておくと安心です。
初回相談を無料で受け付けている事務所も多いですが、弊所では有償となります。
早い段階で一度相談の場を設けることをおすすめします。
最後に
なかなか扱いが難しいと私自身が思いました。
封のない遺言書の場合など、検認は必要となります。
注意しましょう。
個別具体的な税金、登記や紛争性のあるご相談は受けることが出来ませんが、遺言、相続に関する
お悩みのある方は、まず、弊所においてもご相談を受け付けております。(フォームからの一次返信までは無料です。)
お話を伺い、アドバイスをさせていただいております。(有償対応となります)
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