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『死後事務委任契約の有効性』に関すること
2024年最初の記事となります。
今回は、個人的に整理したい内容に関するものとなります。
「遺言」と「死後事務委任契約」に記載する内容の注意事項となります。
【死後事務委任契約の有効性】
死後事務委任契約も契約である以上、強行放棄や公序良俗に違反しないこと等一般的な契約の有効性の要件を
満たす限り、広く委任事務を定めることになります。
なお、委任者の死亡は、委任契約の終了事由として規定されていますが(民653一)、死後事務委任契約は
委任者の死亡時に意味のある契約であり、委任者の死亡によって一律に効力が否定されるわけではありません。
【遺言制度との関係】
死後事務委任契約を締結する際は、その多くが強制法規とされている遺言制度との抵触に留意する必要が
あります。遺言は、民法に定める方式に従わなければ効力は認められません。(民960)
(1)相続に関する事項
➀ 推定相続人の廃除、廃除の取消し(民893・894➁)
➁ 相続分の指定・指定の委託(民902➀)
➂ 特別受益の持戻しの免除(民903➂)
➃ 遺産分割方法の指定・指定の委託(民908前段)
➄ 遺産分割の禁止(民908後段)
➅ 共同相続人の担保責任の減免・加重(民914)
➆ 配偶者居住権の設定(民1028➀二)
➇ 遺留分侵害額の負担の割合の指定(民1047➀二ただし書)
(2)相続以外による遺産の処分に関する事項
➀ 遺贈(民964)
➁ 相続財産に属しない権利の遺贈についての別段の意思表示(民996ただし書・997➁ただし書)
➂ 信託の設定(信託2➁二・3二)
➃ 一般財団法人の設立(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152➁)
(3)身分関係に関する事項
➀ 認知(民781➁)
➁ 未成年後見人の指定(民839➀)
➂ 未成年後見監督人の指定(民848)
(4)遺言進行に関する事項
➀ 遺言執行者の指定・指定の委託(民1006➀)
(5)その他の事項ん
➀ 祭祀承継者の指定(民897➀ただし書)
➁ 遺言の撤回(民1022)
➂ 保険金受取人の変更(保険法44➀・73➀)
なお、これら以外の遺言事項は、付言事項といい、遺言者の思い等を伝えることは出来ますが、法的拘束力は生じません。
今回の死後事務委任契約を締結するにあたっては、遺言事項に抵触しないことに留意する必要があろうかと考えます。
参考・引用
新日本法規 実務家が陥りやすい死後事務委任契約の落とし穴
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