『夫婦おふたりさまで生前に住んでいる不動産を贈与したらどうなるの?』20250118時点(15)

1. はじめに

今回は、夫婦おふたりさまのケースに触れて行きたいと思います。

夫婦において、生前に奥様(妻)に居住用の不動産を贈与した場合について、

触れて行きたいと思います。

2. 婚姻の期間が20年以上の夫婦となると

婚姻期間が20年以上の夫婦においては、居住用不動産又は居住用不動産取得のための金銭贈与が行われた場合、

2,000万円までは贈与税はかからず、基礎控除額110万円を含めると2,110万円までは贈与税はかからない

こととなります。

No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

[令和6年4月1日現在法令等]

3. 贈与税の配偶者控除について

贈与税の配偶者控除は、同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか受けることは出来ません。

内縁関係の場合は、適用されません。

【相続税法】

(贈与税の配偶者控除)
第二十一条の六 その年において贈与によりその者との婚姻期間が二十年以上である配偶者から専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利若しくは家屋でこの法律の施行地にあるもの(以下この条において「居住用不動産」という。)又は金銭を取得した者(その年の前年以前のいずれかの年において贈与により当該配偶者から取得した財産に係る贈与税につきこの条の規定の適用を受けた者を除く。)が、当該取得の日の属する年の翌年三月十五日までに当該居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合又は同日までに当該金銭をもつて居住用不動産を取得して、これをその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合においては、その年分の贈与税については、課税価格から二千万円(当該贈与により取得した居住用不動産の価額に相当する金額と当該贈与により取得した金銭のうち居住用不動産の取得に充てられた部分の金額との合計額が二千万円に満たない場合には、当該合計額)を控除する。
2 前項の規定は、第二十八条第一項に規定する申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。)又は国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書に、前項の規定により控除を受ける金額その他その控除に関する事項及びその控除を受けようとする年の前年以前の各年分の贈与税につき同項の規定の適用を受けていない旨を記載した書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
3 税務署長は、前項の財務省令で定める書類の添付がない同項の申告書又は更正請求書の提出があつた場合においても、その添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
4 前二項に定めるもののほか、贈与をした者が第一項に規定する婚姻期間が二十年以上である配偶者に該当するか否かの判定その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

4. 贈与税の配偶者控除の適用を受けるには

贈与税申告をする必要があります。

・贈与日から10日を経過した以後に作成された戸籍の謄本又は抄本

・贈与日から10日を経過した以後に作成された戸籍の附表の写し

・居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で当該贈与を受けた者がその居住用不動産を取得したことを証するもの

【相続税法施行規則】

(贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合の添附書類)
第九条 法第二十一条の六第二項に規定する財務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 戸籍の謄本又は抄本及び戸籍の附票の写し(法第二十一条の六第一項の財産の贈与を受けた日から十日を経過した日以後に作成されたものに限る。)
二 法第二十一条の六第一項の財産の贈与を受けた者が取得した同項に規定する居住用不動産に関する登記事項証明書その他の書類で当該贈与を受けた者が当該居住用不動産を取得したことを証するもの

この制度において、贈与税額が0となる場合であっても、贈与税の申告書を提出する必要があるようです。

5. 贈与税の配偶者控除はよいことばかりなの?

一般的に、節税が目的であると思います。

  1. 不動産取得税がかかること
  2. 登録免許税が相続時と比較して高くなること
  3. 奥様(妻)に先立たれる折角の贈与が無またはそれ以上の税負担が発生する可能性があること

判断は容易ではない点が出てきます。税理士などの専門家に事前相談するのもひとつの方法かと考えます。

6. 最後に

お悩みのある方は、まず、弊所においてもご相談を受け付けております。(フォームからの一次返信までは無料です。)

弊所の問合せフォーム

お話を伺い、アドバイスをすることは承っております。

但し、個別具体的な税に関する相談はお受けできません。一般的なアドバイスにとどまります。

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記事作成者


特定行政書士・海事代理士
米川 政志
千葉県行政書士会葛南支部
船橋市幹事

定期的に船橋商工会議所にて、遺言書作成や相続に関する無料講座を開催しています。

《所有資格》
・遺品整理士
・認定空き家再生診断士

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